建設業界の人手不足の原因と対策・人材不足は日本の問題であり課題

建設業ブログ

建設業界では、職人(技能労働者)不足が常態化しているといわれ久しいですが、東日本大震災や東京オリンピック・パラリンピックなどの需要もあり求人は増えています。

しかし、前回(建設業人気ランキング等からわかる不人気の理由と就職前に知っておきたいこと)の記事でお伝えした通り、建設業は若者にも人気がなく、募集をしても入ってこない状況です。

建設業界の人手不足の職種・原因と対策、対策の結果、建設業の今後…将来の予測等から紹介していきます。

建設業界の人手不足の職種・原因と対策

建設業界の人手不足は、不人気の理由と重複しますので、下記をお読みください。

■人手不足の職種(解消された職種あり)
建設労働需給調査結果

■人手不足の原因
建設業人気ランキング等からわかる不人気の理由と就職前に知っておきたいこと
建設業界が人材不足に悩む原因は職人を軽視する所にある
ゼネコンが自らの手で招いた「建設業の衰退」

■人手不足の対策
建設業の人材不足を改善するため、国土交通省・厚生労働省が連携~「当面の建設人材不足対策」のとりまとめ~

このように、建設業界には人手不足の職種があり、解消するための対策がおこなわれています。

対策の結果

対策の結果、建設業はどのようになったのでしょうか。下記をお読みください。

建設業の人手不足和らぐ 公共工事一巡、賃金上昇で確保
建設業の人手不足はいまどうなっている?
人手不足の建設業界 労働環境、じわり改善

改善はしているが、人手不足が解消したわけではないとの結果でした。

建設業の今後の展望と将来の予測

このような状態の建設業の今後、将来の予測は下記をお読みください。

今後の建設産業政策の在り方について
ゼネコンが悲鳴! 若者離れ、人手不足に悩む建設業界の将来性
建設業界の現状は「ウハウハ」ではない

現在は、震災の復興と東京オリンピック・パラリンピックなどの需要で、人材不足が起きていると考えられます。

先ほどの記事では、今後の建設業について、下記のように注意を促していました。

前回の東京五輪では、終了後はひどい建設不況が起きた。2020年以降もその再現になると思う。だから、その辺のことも考えて、いろいろ手を打っていかないといけない。

建設業の今後の展望と将来の予測は、引き続きイノベーションも必要ですが、需要の減少とともに企業の統廃合や異業種への進出も進んでいくと考えられます。

人材不足は日本の問題であり課題

ここまで建設業界の人手不足について、原因と対策、今後…将来の予測とみてきましたが、日本の業種に目を向けると農業介護IT飲食業のほか、業種の垣根をこえて全国の中小企業でも人材が足りない状況が起きています。

このような状況をふまえると、人材不足は建設業界だけの問題や課題ではなく、日本の問題であり課題と考えられます。

少子高齢化・人口減少社会による影響

現在、日本は少子高齢化・人口減少社会に入りました。下記より日本の人口推移をご覧ください。

我が国の人口については、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」における出生中位(死亡中位)推計を基に見てみると、総人口は、2030年(平成42年)の1億1,662万人を経て、2048年(平成60年)には1億人を割って9,913万人となり、2060年(平成72年)には8,674万人になるものと見込まれている。また、生産年齢人口(15~64歳の人口)は2010年(平成22年)の63.8%から減少を続け、2017年(平成29年)には60%台を割った後、2060年(平成72)年には50.9%になるとなるのに対し、高齢人口(65歳以上の人口)は、2010年(平成22年)の2,948万人から、団塊の世代及び第二次ベビーブーム世代が高齢人口に入った後の2042年(平成54年)に3,878万人とピークを迎え、その後は一貫して減少に転じ、2060年(平成72年)には3,464万人となる。そのため、高齢化率(高齢人口の総人口に対する割合)は2010年(平成22年)の23.0%から、2013年(平成25年)には25.1%で4人に1人を上回り、50年後の2060年(平成72年)には39.9%、すなわち2.5人に1人が65歳以上となることが見込まれている。
このように、我が国は、今後、人口減少と少子高齢化の急速な進展が現実のものとなり、この中で新たな経済成長に向けた取組が不可欠である。

日本の人口推移

引用:少子高齢化・人口減少社会

このように、今後も生産年齢人口が減少し続けていくことが予測されています。

労働者市場では人材の奪い合いが激化

生産年齢人口の減少により、どの業界でも人手不足が加速していくと考えられます。

また、人手不足が加速すると、企業は即戦力(仕事のできる人)を求めるようになるため、労働者市場での人材の奪い合いが激化していくことも考えられます。

これまで新規採用者に対して数年の育成の期間をみていた企業も、これからは余裕がなくなるかもしれません。

単純に人手不足だからと言って、海外から人材(外国人)を招き入れても、言葉の壁以外にこえなければならないものがあり、ほかにも育成後に帰国したら戻ってこない可能性もあります。

労働者市場での人材の奪い合いが激化しても、結局は限られたパイの奪い合いとなり、悲惨な将来が待ち受けているだけです。

建設業界の新たな取組

震災の復興および東京オリンピック・パラリンピックなどの需要も、新たな大規模災害が発生しない限り、2020年から減少していくことがわかっています。

その後、悲惨な将来を現実にしないためにも、経済成長に向けた建設業界の新たな取組みも必要となってきます。

幸い建設業には、忙しい時期とそうでない時期があります。これは工事の発注(予算の都合)によるものですが、多くの建設業関係者は周知のことと思います。

忙しい時期は建設業で稼ぎ、そうでない時期は異業種で稼ぐなど、今後は年間を通して仕事を確保できる体制作りが、経済成長に向けた建設業界の新たな取組みとして求められてくるのではないでしょうか。

地域の成長に合った取組

少子高齢化・人口減少社会による影響でもわかりましたが、これからの日本は生産年齢人口が減少し、高齢人口が増加していきます。

これは、同時に働く人たち1人あたりの税金負担の増加を意味しますが、公共工事も税金でおこなわれていることは周知の事実です。

ここで考えなくてはならいのは『これから新しく建物や道路をつくる必要があるのか?』ということです。

おそらく皆さんの住んでいる多くの地域では、最低限必要とされるインフラの整備は終わっており、これからは維持管理に移行していくのではないかと思います。

そうなると建設業では維持管理の分野でイノベーションが求められますが、新しく建物や道路をつくる必要がない地域では、必然的に公共工事が減少し建設業者が倒産していきます。

それに合わせて公務員の削減も不可欠となってきますが、建設業が倒産することを理由に公共工事と公務員の削減を阻止しても、次の世代へ負の遺産を残すことになりかねません。

経済成長に向けた建設業界の新たな取組は、それぞれの地域の成長に合った取組を考えていく必要があると思います。

受注者委託方式による工事発注

建設工事には、工期(工事の期間)があります。先述した年間を通して仕事を確保できる体制作りをしようとしても、工期をまもらないといけないため、実現は困難です。

建設業(現場)で週休二日制が守れないのも工期と労働者の賃金が原因ですが、無理な工期や余裕のない工期が、企業の柔軟な対応を困難にしています。

住民に危険が差し迫っていない緊急性の低い工事などは、受注者委託方式を導入するなどして、発注者から工事の問題点などを示し、請負者が問題解決しながら1年間のうちに都合の良い時期に施工するなど、工期を自由設定出来るようにしていけば、工期と労働者の賃金の問題は解決します。

企業が年間を通して工事の受注を増やすなど、柔軟な対応ができるようになりますので、労働者も出勤が平滑化され賃金も年間を通して安定します。

ここでは例として、受注者委託方式による工事発注について書きましたが、経済成長に向けた建設業界の新たな取組みは、企業だけでなく発注者と受注者が官民一体で考えていくことではないかと思います。

まとめ

建設業界だけでなく、ほかの業界も人材不足が深刻化している現実をみてきました。

建設業界の人手不足の原因と対策・人材不足は日本の問題であり課題であることがわかりました。人材不足が深刻化しているのは、決して、建設業だけのことではありませんでした。

今後の日本は少子高齢化社会の影響で、どの業界でも人手不足による規模の縮小が進んでいくと思います。

人口減少が進んでいく中で、どの業界も規模を保つために、このまま人材不足を掲げてパイの奪い合いをしていくと、人手不足や質の低下に拍車がかかり、手抜きや不正・サービスの悪化も増えていくことがわかりました。

そのようなことを防止することをふまえ、少ない人数でも出来るようにするためには、まずはアイデアを出して、今の会社や業界の悪い体質や仕組みを改善していくことが必要です。

この記事を読んで、日本全体を見渡す大きな視点で考えると、少子高齢化で生産年齢人口が減少し続けていくことは分かったと思います。

どのようにすれば、少子高齢化が進む日本で生き残っていけるのか?

これが、建設業界だけでなく、働く私たちに与えられた課題ではないかと思いました。

建設業の異業種参入は、時代が求めていることなのかも知れません。